ホーム活動報告・会報記事学園だよりアラムナイ95号「学園通信」より

学園だよりアラムナイ95号「学園通信」より

1.日帰り遠足

コロナ禍で栄光学園恒例行事が軒並みに中止に追い込まれる中で、中1、中3、高1が学年ごとに、10月下旬から11月中旬に日帰りでの遠足を敢行しました。それぞれが自分達で趣向とコロナ対策を企画し、無事に戻ってまいりました。
以下、各学年の参加者の感想です。

中1:

午前9時15分、小田原駅西口に集合。バスで、南足柄市にある「あしがらロープスコース」に向かう。現地ではグループ(15名程度)に分かれ、ファシリテーターの方の支援を受けながら、活動した。午後4時頃、小田原駅にて解散。

KY君 (中1)

遠足に行く前日はアスレチックが楽しみで、ウキウキ準備をするなど待ち遠しかった。当日、グループ活動が開始され、最初は皆で輪になって、手助けしてくれる「ころすけ」(ファシリテーター)の言うことに従いながら、きれいな輪を保った。案外難しかったし、成功したときには嬉しかった。そういう活動から始まり、最後は高いところで綱渡りをするというスリリングなアスレチックだった。それには、それぞれ役割があって、皆で協力しなければ危険を伴うものだった。活動自体、ヒヤヒヤしたときもあったけれど楽しかった。それに加え、学んだこともあった。今回の活動は最初から最後まで、皆で協力してひとつのことを成し遂げるというもので、特に最後の活動は「協力」が非常に大切だった。皆で協力してひとつのことを成し遂げる団結力は大事だと学んだ。

SF君 (中1)

コロナウイルスが収まりつつあった頃、多くの行事が中止になる中で秋のキャンプはできるのではないかと期待していました。一方、このような時だから春のキャンプのように中止されてしまうのではないかとも考えていました。夏休み明け、出された決定は「日帰り」。この決定に僕は半分安心し、半分残念に思いました。しかし当日は同じグループの人たちと協力して課題をこなしていく過程に充実感を得ることができました。栄光学園に入ってから初めての校外遠足は、このような時だからこその、大事な思い出になりました。

中3:

HK君 (中3)

今回の遠足で、僕たち72期生は箱根にある恩賜箱根公園、関所、箱根神社の3つに日帰りで行ってきた。実は僕自身、今年の夏休みに箱根に行ったばかりであったが、これらには行けなかったため、行けてラッキーだった。そして何より、このウイルス流行の中で遠足が出来たことに感動している。
と満足だけしていても何にもならないので、クラス委員として振り返る。修学旅行の練習という位置付けであった今回の遠足で、僕は計画において正直ほぼ何も関われておらず、委員としての意識もフワっとしていた。「自覚」の「j」の字もなかった。非常に反省しているし、僕を頼ってくださっている方々には申し訳ないと思う。
ただ、この遠足を機に、クラス委員としての意識を少し変えることが出来たのではないかと思う。こんなに多くの人を引っ張っていかなければいけないのに、自分は何をしていたんだろう、と。修学旅行では、周りの信頼に応え、委員としての責任を果たしたいと思う。
最後に。僕たちを支えてくださった先生方、協力してくれた72期たち、頼りない僕を温かく見守ってくださった担任団の方々、そしてクラス委員の仲間に感謝いたします。僕たちは修学旅行に行くことを強く望んでおりますが、その時もよろしくお願い致します。

YK君 (中3)

箱根遠足の計画が出たのは10月の最初、先生方が72期でどこかに行って楽しまないかと提案してくれたのがきっかけです。クラス委員で話し合い、どこに行くか何をするか決めようとしましたが、なかなか決まらない。決まらない理由は2つあり、1つ目は箱根に行くか、横浜に行くか。これを決めるためにかなりもめてました(それもそのはず。意見が丁度半々に分かれていたのですから)。2つ目は、コロナウィルス関係で、公共交通機関は使えないという大きな制限があり、自由に行動できない。ただ他のクラス委員のおかげで箱根に行くことが決まり、安心しました。
こうして箱根に行くことができ、何事もなく楽しく帰ってこられました。
最後に箱根遠足を手配、実行してくれた先生方、他のクラス委員に感謝します。

高1: 遠足 箱根彫刻の森美術館 2020.11.12

委員長 MF君 (高1)

この遠足は高1の間の数少ない貴重な思い出となりました。また、新型コロナウイルスの影響で今年度の様々な行事が中止になる中、楽しい遠足を考えて下さった先生方に感謝します。
僕はクラス委員企画のまとめ役を通して、様々な経験を得ることができました。その中でも特に視野を広げることができた考えを2つ紹介します。
まず、仲間と協力することの重要性です。一見当たり前にできることのように思えますが、全体をまとめる為の役割分担をどのようにしたら良いのか分からず、また仕事を頼むことに少なからず罪悪感を感じてしまいすべてひとりでやってしまいました。しかし、先生から他の人に仕事を頼むのもリーダーの役目だと助言をしてもらい、やるべきことをみんなで分担しました。そうすることで僕自身の負担が減り、仲間の意識も高まり、全体を見て指示を出すこともできました。適材適所をすることがより良い運営につながると思いました。
次に、企画の考え方についてです。クラス委員会議では、全員が楽しめる企画を作ろうと考えていて、特に美術館があまり好きでない人に興味を持ってもらう企画案を話し合っていました。しかし、僕はそのような案に対して心から賛同できるとは言えませんでした。
そして、そのように感じるのは自分がその企画が楽しいと感じていないからだと気づき、誰かを楽しませるためにはまず自分が楽しめるものを作るべきだと思いました。
このように貴重な経験を遠足の企画によって得ることができました。今回の遠足は、コロナ対策を徹底しながら楽しむことができたので、この経験をもとに高2の修学旅行などの企画も考えてみたいです。

企画班 KS君 (高1)

今年、新型コロナウイルスの影響で栄光祭や体育祭、歩く大会といった栄光学園の恒例行事が軒並み中止になってしまった事は僕達栄光生にとって極めて残念でした。そんな中で担任団の先生方から今回の箱根彫刻の森美術館遠足企画のお話を頂いて凄く嬉しかったです。
今回の遠足企画に際し、僕達クラス委員は遠足委員を組織し、「高一全員が美術館所蔵の彫刻作品を積極的に観賞して貰い、遠足の1日を最大限を楽しんで貰う」という事を第一目標として当日までの約一ヶ月間度々会合を開いて議論し、有志メンバーによる現地の下見を行った上で、美術館所蔵の全彫刻作品を題材とした写真コンテストを企画しました。
今回の企画では特定の作品付近に栄光生が密集しないようにする為に敢えて題材の彫刻作品を指定する事なく題材自由での写真コンテストを行う事を決定しました。このご時世ですので、僕達クラス委員には様々な懸念がありましたが、実際当日を迎えて見ると各班が美術館で飽きてしまう事なく、各々の興味・趣向に合う彫刻作品を熱心に観賞してその彫刻作品を題材とした写真を撮影してくれて、密集しないという感染防止の観点での目標を達成できただけでなく、全員に彫刻作品を積極的に観賞して貰うという企画面での第一目標を達成できて遠足委員の一員として満足していると同時に、参加した高一全員にとって2020年の掛け替えの無い思い出になったに違いないと確信しています。

今回、遠足の企画をさせてくださった担任団の先生方にクラス委員の一員として、高一生徒の一員として心から感謝しています。

2.部活の活躍状況

部活が栄光生の学園生活において大きなウェイトを占める点は今も変わっていないようです。軟式野球部を始め、対外試合で勝ち上がっていく実力を示しておりますが、ここでは物理研究部のロボット班と英語部の即興型英語ディベート全国大会での活躍をお伝えします。

物理研究部
FLL班公式チーム「今、鎌倉。」
FLL東日本大会・Japan Open参加記

YM君 (高1)

物理研究部FLL班は、2019年度に初めて発足した班です。2019年度の目標は、「First Lego League(以降FLL)」というロボットの国際的な大会に出て、世界大会出場権を獲得することでした。初参加の大会で、私たちのチーム「今、鎌倉。」は全国7位に入賞し、世界大会出場権を獲得しました。ここでは、FLLとFLL班の2019年度の活動について紹介します。
FLLは、9歳~16歳を対象とした世界最大規模の国際的なロボット大会で、日本では2004年から開催されています。現在、世界110か国、毎年約7万チームが参加します。FLLでは毎年世界7か所程度で世界大会が行われます。私達が参加した2019-2020シーズンは、10位以内に入賞した場合、デトロイト、カリフォルニア、アーカンソー、ギリシャ、ブラジル、オーストラリア、そして名古屋で開かれる大会のうちどれかの参加権を手にできました。
大会では、4つの競技を行います。①LEGOでロボットを作り、プログラミングして、多数のミッションをクリアする「ロボットゲーム」。②作ったロボットについてプレゼンする「ロボットデザイン」。③ロボットとは別に、毎年出されるテーマに沿って研究を行ってプレゼンする「プロジェクト」。④チームワーク・チーム運営について発表する「コアバリュー」です。
私たちは、「ロボットゲーム」では、縦横に動かすことのできる機構を採用し、この構造を採用したロボットでは(たぶん)世界最小のロボットを作成しました。ロボットはセンサーやモーターを備えていて、ラジコン操作で動くのではなく、プログラムに従って自動で動きます。「プロジェクト」の今年のテーマは「建築・都市開発」でした。私たちは「車いす利用者が使用できるトイレが不足している」という問題を解決するため、「車いす利用者が一般のトイレを使用できる装置」を半年かけて開発しました。トイレメーカーの技術者の方や、福祉アドバイザー、実際の車いす利用者の方に何度もアドバイスを頂き、改良を重ね、試作機を3つ作成し、4号機については福祉機器メーカーの方と設計図の作成までを行いました。
東日本大会も日本大会も、スケジュールは同じように、受付→ブース設営→開会式→4つの競技(順番はチームによって異なる)→閉会式(結果発表)という流れです。
日本大会では、東日本大会の反省を上手く活かすことができました。プレゼンについては、ルーブリックに従って、満点を目指して推敲を重ね、ロボットは東日本大会より33%小型化しました。東日本大会では活動時間が足りず凝れなかったブースは、日本大会ではクオリティを高め、チームのロゴが入った旗を持って、ロボットゲームの競技中に振って応援したりしました。
閉会式の心境を述べます。当日思うように成果がでておらず、とれて10位だと思っていました。しかし、10位から8位まで違うチームが呼ばれました。落胆していた矢先、まさかの7位でチームの名前が呼ばれます。この日まで努力してきてよかったと思える瞬間でした。

車いす利用者が一般のトイレを使用できる装置(試作3号機)

全国大会に向けて作成したロボット

下の写真は、トロフィーと、当日振った旗です。トロフィーは職員室に飾ってあります。

初年度の「今、鎌倉。」の実績は、初出場にして東日本大会5位、日本大会7位入賞、そして米アーカンソー州で行われる世界大会「RAZORBACK Open Invitational」出場権獲得という快挙を成し遂げました。しかしながら世界大会は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、残念ながら中止となってしまいました。次世代の班員達には、私たち以上に努力して頂きたいです。今後は、FLL日本一を目指す他に、World Robot Olympiad (WRO)や宇宙エレベーター競技会などにも出場します。

受賞トロフィー

英語部
第3回PDA中学生即興型英語ディベート全国大会 
PDA全国高校即興型英語ディベート合宿・大会2020 優勝

2020年3月21日(土)に、オンライン上(ZOOM)で第3回PDA中学生即興型英語ディベート全国大会が開催され、本校から71期中嶋大耀、永田唯一、岡村隆聖が参加し、予選2試合を勝ち抜き、優勝しました。また、同3名は2020年8月8日(土)、9日(日)開催のPDA全国高校即興型英語ディベート合宿・大会2020にも参加し、全勝で予選を勝ち抜き見事優勝しました。各試合は審査員の投票で勝敗が決まるのですが、この大会では3試合の練習ラウンドから決勝戦まで1票も落としませんでした。以下、大会概要と参加生徒の感想です。

第3回PDA中学生即興型英語ディベート全国大会 (全て勝ち)
Round1: Bringing snacks and soft drink to junior high school should be allowed.
Round2: Closing schools to combat the COVID-19 has brought more benefits than harm.
Final Round: Recreating the dead in VR does more benefits than harm.

PDA全国高校即興型英語ディベート大会2020 (全て勝ち)
Practice1: A grade should be decided based on learning outcomes.
Practice2: A fat tax should be introduced.
Practice3: Persons who spread a virus on purpose should be sentenced to death.
R1: Japan should accept more foreign refugees.
R2: Japan should legalize euthanasia.
R3: A pet tax should be introduced.
SF: Authoritarianism is better than democracy during the COVID-19 pandemic.
GF: A life imprisonment should be imposed on a person who lead others to commit suicide with slander.

「戦友」

RO君 (高1)

僕は中学一年の冬、英語部に転部した。当時僕の英語は至って普通で勿論帰国子女でもない。数多の転部先の中から、なぜ英語部を選んだのか。正直自分でもさっぱり分からない。しかしこの直感的な選択が、僕の中高生活の一つ目にして最大の転機になり、僕の原点にもなった。
英語部に足を踏み入れた初日。僕は衝撃的な光景を目の当たりにした。僕とたった2、3歳しか違わない先輩たちが、立て板に水の如く「英語」を武器に闘っていたのだ。これが僕の「ディベート」という頭脳の格闘技と出会った、二つ目の転機である。
これらのきっかけは、僕に「英語」と「ディベート」という二つの青春を与えた。それまでただ勉強だと思っていた英語が、まるで戦闘アニメのかっこいい武器のように映るようになった。ディベートをやっていく中で尊敬できるライバルや、最強の仲間に出会うこともできた。いつの間にか、英語部に居場所を見つけ、そこでどこまでも強くなっていける可能性を感じた。そのことが、ただただ嬉しかった。
今回の二つの全国優勝は、その結果といえるだろう。特に「チームワーク」における成長には目を見張るものがある。今回のPDAという形式の即興ディベートは、論題が出てからの準備時間は「たった15分」である。だが、それに甘えチームでの共有を怠り矛盾を起こせば、敗北は必至だ。いかにこの時間を最大限利用するか、一分一秒たりとも無駄にはできない。チームワークが肝要なのである。
例えば僕の役目は、準備時間にチームの司令塔となる所から始まる。まず、論題が発表されたら即座に、僕は「勝ち筋」を見極め、迅速に方針をメンバーに伝える。言うまでもなく、このままでは浅い。だから反論を担う永田が、これに容赦なく緻密に計算されたダウトをかける。然るべくして、脆弱な「方針」は盤石な「論理」へと化ける。最後に、複雑化した議論を見事に収束させるのが、立論の中嶋だ。彼はこの3人の中で、一番早くに立論を組み立てスピーチしなくてはならない。勿論永田も試合中は反論まで行う忙しい職である。したがって僕のミッションは、一分でも多くの時間を彼等に残すことなのだ。最強のメンバーたちの最強のスピーチがあるからこそ、最終弁論者の僕は、最強の比較を打ち出せるのである。
「チームワーク」とは何か。僕ならば、迷わずこう答えるだろう。単にメンバーと仲良くなれということではないし、メンバーを絶対的存在だと思い込めというものでもない。共に闘う戦友が、何が「得意」で何が「苦手」なのかを分析し「信じるべきところを信じ、補うべきところを補う」これがチームワークなのだ。負けない為には「妥協のない信頼」が不可欠である。これらを達成して初めて勝利の頂きが見えてくる。そのことを体感できたのは、勝利以上に大きな収穫であった。

八木 英樹 (9期)