ホーム活動報告・会報記事学園だよりアラムナイ96号「学園通信」より

学園だよりアラムナイ96号「学園通信」より

1.2020年度 69期卒業式学 校長のことば(抜粋)

望月 伸一郎 校長先生

69期のみなさん、卒業おめでとうございます。
今日、ここに卒業式を行うことができたこと、みなさんと同じく私も本当にうれしいです。
新型コロナウィルスの影響で、一年前のちょうど今ごろから、授業をはじめ様々な行事が中止となり、特に年が明けてから再び緊急事態宣言が出たころは、もしかすると卒業式も中止にせざるを得なくなるかもと、心配ではありましたが、とにかく今日こうして69期の元気で立派な姿に会え、卒業証書を授与できて本当によかったです。

終わりよければすべて良しとか、有終の美とかいう言葉がありますが、栄光学園にとどまらず今年の春、卒業していく全国の高校3年生にとって、この最後の一年は、決してよいものではなかったかもしれません。
部活動を頑張ってきた人は、最後の発表の場、あるいは最後の試合の場がなくなってしまいました。中学高校の6年間の総仕上げとして位置づけていたであろう、その最後の機会が消えてしまったと思います。そうした悪条件は、課外活動にとどまらず学習においても同じだったのではないでしょうか。特に高3になるまで、あまりコツコツとした勉強をして来なかった人達にとっては、いきなり休校になったり外出ができなかったりして、ますます不安が深まり、勉強が手につかなかったかもしれません。正直、私もその点では不安でした。それは、今日ここにいらしていただいている保護者の方々も同じだったと思います。

HR企画の体育祭

しかし、そんなときでも、きみたち69期は、栄光に入学してから一度も登校できていない新入生74期のために、励ましの動画を作って配信してくれました。6月になってようやく登校できた中一の生徒たちに聞いてみると、あの動画にとても励まされたとか、栄光学園に入学して良かったと思ったと言っていました。制作や配信にかかわってくれた人達にあらためて私からも御礼をいいたいと思います。
そして、ほとんどの学校行事が中止となり、ふさぎ込みがちになるこの一年のなかで、69期は、2学期の後半、大学受験の試験日がもうあと数カ月後に迫っているその時期に、学年みんなが参加するスポーツイベント「スポ大オープン・体育祭実戦」を、企画し実施しました。高3の終わり近くのその時期に、たとえ一日だけであったとしても、スポーツイベントを企画し、学年のみんなが一生懸命に丸一日参加するなんて、よその学校だったら「よい子の下級生は絶対にまねをしないでください」といわれることでしょう。しかし、それを全力でなし遂げたあと、翌日から一転、また一生懸命に勉強に集中している君たちの姿を見て、ああ69期は本当に栄光学園の生徒だなぁと思うとともに、みんなで力を合わせようとする君たちの心意気と実行力に、とても感動しました。

卒業生のことば(抜粋) 69期 T.W君

本日は私たち69期の卒業に際し、このような素晴らしい式を開催して頂き、誠にありがとうございます。69期卒業生を代表して、ご来賓ならびに教職員の皆様、保護者の方々に御礼申し上げます。そしてMくん、心のこもった送辞をありがとう。
私たちは、新型コロナウイルスがもたらした世の中の大きな動乱の中、卒業する運びとなりました。昨年の2月末から5月にかけて休校となってしまい、再び仲間全員と顔を合わせることができたのは6月末になってからのことでした。その後の学園生活も大きな変更を余儀なくされ、特に、イベントの多くが中止となってしまいました。5年間続けてきた、全学年揃っての中間体操も、今年度はとうとう一度も行うことが出来ませんでした。僕自身も、68期の先輩方の卒業にあたって送辞を述べるという任に当たるはずでしたが、それが叶うこともありませんでした。
69期の成長のまさに集大成であったのは、10月に生徒主導で行ったHR企画だったと思います。
きっかけはある1人の提案でした。当時、栄光祭や体育祭、歩く大会など、最後と思っていたイベントが次々と中止になり、またコロナ禍で行動の制約が厳しくなったことで、2月にはあった活気が失われているように感じられました。そんな中、69期で最後に何かをやりたい、という提案があったのです。厳しい現状を打ち破ろうとしている仲間の情熱に惹かれ、僕を含め5人が運営のメンバーに加わりました。
初めは午後に2時間ほどで終わる企画を想定していたそうです。しかし、仲間が増え、やりたいことも増え、どんどん大規模化し、気付いたら丸1日かけてクラス間で勝敗を競うという、体育祭に負けず劣らずの一大イベントになっていました。
実施を発表すると、休み時間を使って、本番で実施される競技の練習に励む者が多くいました。プラバット野球の競技人口はいつも以上に増加しました。普段ならばやらないような、アルティメットやタグフットボールといった競技に打ち込む生徒も数多く見受けられました。教室からフィールドを見渡すと、3分の2以上を高3が占有していることもありました。後輩からすれば迷惑な話だと思いますが、69期全員の盛り上げがあったからこそ、学年全体で良い雰囲気が出来ていました。
迎えた当日。運動慣れしていないせいか、怪我人も出たり、スケジュール通りに行かなかったこともありましたが、活気に満ち溢れた素晴らしい時間になったと思います。競技の性質上、どうしても勝敗はついてしまいますが、それ以上に、あの活気は69期全員で得た「勝利」であったと思います。
同じ場所で同じ時間を過ごしたこれまでとは異なり、栄光を巣立つ私たちは、それぞれの夢に向かって、別々の道を歩むことになります。
ですが、激動の時代に生きながら、多様な価値を受容し、創造していくことを知った69期は、力強く社会の大海原へと羽ばたくことができると思います。どこかでまた会えると信じて、遠く、たとえ海外にいたとしても、どこかで繋がっていると信じて、これからも自分たちが信じる道を歩み続けたいと思います。
最後になりましたが、私たちがこのように充実した日々を過ごすことができたのは、温かく見守って下さった教職員の皆様、保護者の皆様、栄光学園に関わって下さっている全ての皆様のおかげです。
私たちを支えて下さった皆様に改めて感謝申し上げ、卒業の挨拶とさせて頂きます。本当にありがとうございました。

2.今年度の進学状況 ◆◆◆ 進路進学委員会より ◆◆◆

[1]2021年度入試を振り返って

2021年度入試は、大学入試センター試験に代わる大学入学共通テスト実施の初年度に当たりましたが、コロナ禍による一斉休校と、それに伴うさまざまな予定変更を余儀なくされ、生徒たちだけでなく教員にとっても手探りの非常に難しいものとなりました。そのような厳しい状況の中で、69期生たちは、オンラインを含む授業や自学に真摯に取り組むことはもちろん、教員への質問や個人面談、進路室・自習室にある書籍の活用などを積極的に行い、互いに励ましあいながら非常によく頑張りました。進路進学委員会としても、この貴重な経験を、次年度以降の指導に生かしていきたいと考えています。

[2]年度別大学別合格者数

[3]年度別大学別進学者数

3.75期 入学式 学校長のことば(抜粋)

望月 伸一郎 校長先生

75期新入生のみなさん、入学おめでとうございます。
今日の入学式を、みなさんだけでなく栄光学園のすべての教職員が待っていました。
新入生のみなさんは、人生の中でとても大切な選択をして、今ここにいます。日本にはたくさんの私立中学校がありますが、そのなかでみなさんは栄光学園を選んでくれました。そして選んだのは、みなさんだけではありません。私たちも2月に行われた入学試験でみなさんを選んだのです。つまり、私たちはお互いに選びあって、お互いに望みあって、今日ここに一緒に入学式を迎えているわけです。それぞれが選びあったことで、私たちがここに出会うことができたということは、まさに相思相愛ともいうべき出来事です。ですから、これからの6年間、みなさんにとって素晴らしいことが始まるのだろうと思います。そしてこの出来事は、私たちの目には見ることのできないとても大きな力に導かれて、起こっていることなのだと思います。
みなさんのなかには、もしかすると、栄光学園が第一希望の学校ではなかった、という人もいるかもしれません。たとえそうであったとしても、これから栄光学園のこと、先生方や、先輩たち、周りの友だちと仲よくなり、お互いの絆が深くなり、この学校のことについて知れば知るほど、絶対に5年後、高校3年生になっているときには、きみたちの先輩たちと同じように、栄光学園に入ってよかったと必ず思えるようになります。
そのいっぽうで、これからの栄光学園での学校生活とはどんなものだろうと、初めての環境に不安な気持ちをいだいているかもしれません。でも、もしみなさんが心配や不安を持っていたとしても、安心してください。それは自分だけではありません。いま、みなさんの両隣に座っている人も、じつは同じ気持ちです。そして、じつは栄光の先輩たちや先生たちもみんな、今のみなさんと同じ不安な気持ちを味わってきました。心配を経験してきました。みんな同じ経験をしてきたので、みなさんの気持ちもわかり、大切に受け入れようとしています。ですから、もし心配や不安があったら、クラス担任をはじめ、いろいろな先生がた、あるいは親しくなった先輩たちにいつでも相談してください。

さて、一昨日の火曜日は中1だけの登校日でしたが、グループで地図を持って、あるいは担任の先生に連れられて、オリエンテーションの一環として、学校のあちこちを歩いてまわっている姿を何度もみかけました。学校の中をくまなく歩いてみると、あらためてこの学校がとても広いことを実感できた人も多いことでしょう。
栄光学園のこの広い敷地の中には桜の木がたくさんありますが、今年は例年よりも開花が早く、多くの桜は、すでに咲き終えてしまいました。しかし、桜には色々な種類があります。日本ではソメイヨシノという品種だけがとても有名で、桜といったらテレビなどでも、ほとんどそれしかとりあげられませんが、調べてみると、現在日本でみられる桜は、実に500種類ほどあると言われています。開花時期や花の形や咲き方などは、みなそれぞれに違っています。栄光学園の敷地を歩いていると、ソメイヨイノ以外の、八重桜とか枝垂れ桜などは、今もまだ花をつけており、とてもきれいな姿をみせてくれています。
栄光学園の桜と同じように、みなさんもみなソメイヨシノという同じ品種ではありません。桜にいろいろあるように、みなさん一人一人もそれぞれにとって最もよい時期に、最もよい形で、その可能性や才能・能力が、これから花開いていくのです。

中1オリエンテーション

新入生代表の言葉(抜粋) 75期 H.N君

暖かな春のおとずれがやってきました。
僕たちは栄光学園第七十五期生として、無事に入学式を迎えることができましたことを大変うれしく思います。このような立派な入学式を開いてくださり、誠にありがとうございます。
僕たちは真新しい制服に身を包み、心をはずませながら栄光坂をのぼって来ました。これからすごす六年間の学園生活への期待で胸がいっぱいです。

昨年度はコロナウィルス感染症の流行により、生活が一変してしまいました。小学校が一時期休校になり、家で学習していた時期もありました。塾も対面ではなくなり、リモート授業になったりとコロナにふりまわされた受験生活でしたが、そんな大変な受験生活をのりこえ、栄光学園に合格することができ、本当に良かったと思います。
僕が栄光学園を志望した理由は、二つあります。
一つ目は、栄光学園の環境のすばらしさです。兄が栄光学園に通っていたので、僕は何度も行事に足をはこびました。以前、栄光祭で生物部の展示を見たときのことです。展示されている多種多様な生物や植物が裏山でとれることを知り、自然の豊かさにおどろいたことがありました。兄から聞いた話によると、電線の上をリスが走っていたり、「ハチが出たので気をつけましょう」という校内放送がかかったりしたこともあるそうです。また、緑が多く広いフィールドで元気良く運動できるところや、富士山と広い空のある美しい景色。さらに、のびのびとすごせ、木の温かみを感じることのできる新校舎などに魅力を感じました。来るたびにこのような環境で過ごしたいという思いが強くなっていきました。これからこの新校舎で七十五期生のみなさんといろいろなことを学べると思うとワクワクします。
二つ目は、様々な行事で感じた栄光生のすばらしさです。栄光祭では、フィールドで行われていた体力測定や中庭でのダブルダッチなどの体を動かすイベント、教室での脱出ゲームなどの頭を使うイベント、縁日やマジックショーなどたくさんのジャンルがありました。どこにいっても来場者を楽しませながら、自分たちも楽しんでいる栄光生の姿が輝いて見えました。その中でも僕がダブルダッチに挑戦したときのことです。タイミングが分からず、なかなか入れなかったときに、縄をまわすスピードをおそくし、僕に合わせてくれました。
そして、 「はい、はい、はい。」とうまく入れるように声をかけてくれました。そのおかげでタイミング良く入ることができ、うまくとぶことができました。縄を回していた栄光生も、「うまいうまい。」とほめてくれ、うれしさが倍増しました。そんな優しい栄光生にあこがれました。僕も、そんな栄光生になりたいと思いました。
まだまだ未熟な僕たちですが、互いに切磋琢磨し合いながら成長していきます。時には困難にぶつかったり、悩み立ち止まったりすることもあるかと思いますが、どうか先生方、先輩方、ご指導くださいますよう、よろしくお願いいたします。

3.第74回栄光祭を振り返って(抜粋)

実行委員長 T.N 君

コロナ禍真っ只中の12月に僕らの栄光祭に向けた長い長い旅路は71期による実行委員幹部選挙とともに始まりました。
今年の栄光祭準備は本当に先の見えない中でのスタートでした。いつ中止になるかわからない、いつ準備ができなくなるかわからない、そんな中で僕たちは2つの意味をこの第74回栄光祭に込めて準備を進めていこうと決めました。
一つ目はこのコロナ禍の中で、みんなの希望の光になるような機会を作ることでした。今年のスローガンELPISに込められた意味でもあります。2020年度は栄光祭、体育祭、歩く大会と立て続けに学校行事が中止となり、みんなが希望を持てるような場、みんなが活躍する場がありませんでした。コロナ禍でも栄光祭という形でそのような場をなんとしても作りたいという気持ちがありました。そのために乗り越えなければならない壁がありました。「コロナ感染対策」と「様々なことが制限される中での楽しみ方」です。
「コロナ対策」の観点では、衛生部門を中心に全部門一丸となってどのように安全な栄光祭を作ることができるかを考えました。栄光祭に実際に足を運んでいただいた方はわかると思いますが、入り口での健康チェック、各場所での手指消毒等、来場者の皆さんにも様々な協力をしていただきました。栄光生、実行委員も換気、用具の消毒、各箇所での衛生注意喚起などの最大限の感染対策を行いました。今年度最も大きな感染対策は午前、午後の2部制にしたことだと思います。
「様々なことが制限される中での楽しみ方」の観点ではオンライン栄光祭がとても大きな意味を持ちました。来場者と来場時間の制限、食品催し物の中止など、来場者の皆さんに心ゆくまで楽しんでもらうことができるのか、と思い、今回の栄光祭ではコンテンツを充実させるため、オンライン部門が発足しました。ライブ配信や全催し物のHP、オンライン購買など、正直栄光祭準備が始まるタイミングでは想像もしていなかったぐらいオンラインが充実して、オンライン部門の人たちには感謝の気持ちでいっぱいです。コロナ禍での対応という見方もできるかもしれないですが、それに留まらず、栄光祭をもっと盛り上げる意味でオンラインという形のスタートに立ち会うことができたことを嬉しく思います。
二つ目は「つなぐ」栄光祭ということでした。これには2つの意味があると思います。一つ目はコロナ禍の向こう側に生まれる新しい栄光祭の礎を作るということ、二つ目は一年空いてしまった栄光祭の伝統、ノウハウを後輩に伝えるということです。この言葉は実行委員幹部選挙の声明文でS君が使っていた言葉でした。この言葉を見た時、なんていい言葉で大切なテーマなのだろう、と思ったことを今でも覚えています。僕自身この「つなぐ栄光祭」が今年の栄光祭の持つ大きな役割だと思いつつ準備を進めてきました。新しい栄光祭の礎を作るという意味では、やはりコロナ感染対策が最も大きいと思います。ステージも新しい形での開催になりました。ステージ前に並べた観客席、座席カードでの入場管理、一昨年度からは想像もつかなかった形です。一年目ということもあり、うまくいかなったところももちろんありますが、チャレンジして反省を得ること、そしてその反省点も含めて後輩に引き継いでいくことができれば、「礎を作る」という僕たちの使命は果たせたのではないかと思います。伝統やノウハウを伝えるということ、全部門でしっかりこの役割を果たすことができていたように感じます。装飾の作り方、パンフレットの作り方、来場者制限がかかり、作成意欲が落ちてもおかしくないような中でも、装飾部門、広報部門は素晴らしいものを作り、後輩にそのノウハウを伝えてくれました。それだけではありません、装飾部門は入り口階段上の装飾、広報部門はパンフレットの1,2ページ目の全面イラストなど、新しいことにも積極的に取り組みました。「より良い栄光祭を作るという気持ちを常に持つ」という大事な姿勢を僕たちの背中で後輩に見せられたことがノウハウを引き継ぐ以上に大切な「つなぐ」栄光祭の意味だったのではないかと思います。

迎えた当日、栄光生の生き生きとした様子を目の当たりにしました。来てくださった保護者の方にも「とてもいい栄光祭だったよ」「来て良かったです」と言われました。僕らが打ち立てた2つの意味がまさに目に見える形で成功として現れていたように感じます、今まで準備してきたことが報われた、そんな気持ちでした。栄光祭が皆さんの希望になったように、皆さんの声や姿勢が僕の希望になりました。そして、この栄光祭をあのような素晴らしい雰囲気にしたのは僕たち実行委員だけでなく、全ての栄光生だと改めて思いました。今度は僕から全ての栄光生に「素晴らしい栄光祭だった」「作ってきて良かった」と言いたいです。

コロナ禍の栄光祭

八木 英樹 (9期)